第49回吉野せい賞/第50回吉野せい賞作品募集ポスター受賞作品が決定!!
更新日:2026年10月13日
第49回吉野せい賞
吉野せい賞応募数及び選考委員
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応募総数
43編
ジャンル別内訳 小説:30編、童話:2編、戯曲:1編、文芸評論:2編、ノンフィクション:8編
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選考委員
鈴木 俊之、永沼絵莉子、福住 一義、吉田 隆治(50音順)
選考結果
吉野せい賞
タイトル 「牡蠣とオパール(かきとおぱーる)」 (小説)
作者名 火星ネズミ(かせいねずみ)
【あらすじ】
聖子の三女・妙子は幼い頃から他の姉弟と比べて控えめで手のかからない娘だった。ある日、妙子の卵巣に悪性の腫瘍が見つかる。まだ若い妙子の入院を父・道雄はなかなか受け入れられない。家族それぞれの記憶が入り混じる中、妙子は亡くなり、静かに見送られる。その20年近く後、聖子は道雄と庭の七輪で焼いて食べた牡蠣殻の内側にオパールを幻視し、2人は新婚旅行で行ったローマを想いながら古いスクーターを走らせる。
【選評】
・ここ数年間で一番いい。女の子の登場、死の表現、構成や話のもっていき方がうまい。文章もいい。
・一番心に残った。描写・情景が細かいところまで表現されている。リアリティがあり、実感が伴った。
・髪を切る様子などにリアリティがある。牡蠣を焼いて海に行くところは狂気を感じるが、無理なく読ませる作品ではある。
奨励賞
タイトル 「白波を読む(しらなみをよむ)」 (小説)
作者名 なかむら まさゆき
【あらすじ】
“私”は定期的に届く白波奨学支援センターからの封筒をいつもなかなか開封できない。中の白波が表紙に描かれた冊子も読む気になれず、そのままにしていた。センターとの付き合いは長く続いたが、“私”はずっと寄る辺のない気持ちで、生きる実感を持てずにいる。ある日センターで“私”は自分と同じくらいの年代の女性と一緒に、冊子を声に出して読み合う。声に出すことでそこに書かれた喪失や哀しみに対しての文章が、ようやく実感を伴って感じられるのだった。
【選評】
・不思議な世界であり、宗教的でもある。自分の書きたいことを書いている。異世界に行ったところを評価したい。
・文章はテンポがあるが、つかみどころのないもどかしさも。
奨励賞
タイトル 「百昌の調べ(ひゃくしょうのしらべ)」 (小説)
作者名 渡邉 碧羽(わたなべ あおば)
【あらすじ】
中学生の頃から演劇部で脚本を書くのが好きだった鳥頭百足(うず・むかで)は、高校でも演劇部に入部する。同じく新入生で入部した男子生徒・草茎百舌(くさぐき・もず)と仲を深めていく。夏の全国大会に向け、百足は脚本の執筆に没頭し、悲恋の役である吟遊詩人を百舌は演じきった。十数年後、百舌は人気俳優として名を響かせ、そのインタビューで中学生の頃からの百足への憧れを語るのだった。
【選評】
・個性的で独自性のある、生き生きとした感じがよい。
・小説と脚本の二つを組み合わせた作品。高校3年生で、新しい風を感じた。
・新しさは感じるが、会話のやりとりには一工夫が欲しかった。
奨励賞
タイトル 「比留田家のこと(ひるたけのこと)」 (小説)
作者名 赤ぺこ(あかぺこ)
【あらすじ】
大学生の美香は、ある日、祖母の家で飼われている愛犬が別の犬と入 れ替わっていることに気がつく。父は草野球のチャリティ大会を前に、野球での挫折が原因で引きこもりになった中学生の弟を立ち直らせるべく奮闘する。折り合いの悪い母と祖母もそれぞれの生き方を振り返りながら、長く心に残っていたわだかまりを少しずつ解消させていく。
【選評】
・無理のない文体で書かれており、自然な感じで心地よかった。
・話がまとまっている。構成力もいい。
・既視感があり、盛り上がりやすごさはないが、それなりに評価はできる。
青少年特別賞
タイトル 「かるたっ娘(かるたっこ)」 (小説)
作者名 櫛田 理央(くしだ りお)
【あらすじ】
高校生になった春宮栞は、部員の少ない競技かるた部に入部する。競技かるたのルールを覚えながら個性豊かな先輩や憧れの部長とも仲を深めていく。大会への出場を目前に控える中、実は神社の娘である栞は厳しい母に巫女修行をするため部活動を反対される。周囲の支えもあり栞は母に自分の気持ちを伝え、大会の会場へ向かう。大会では敗退してしまうが、栞は仲間や母との絆を深め、競技かるた部としての自覚が芽生えていた。
【選評】
・一般の部(せい賞部門)に入れてもいいくらいの出来。
・起承転結ができており、読みやすい。
総評
・今回は吉野せい賞に41編、中学生以下の青少年特別賞に2編、計43編の応募があった。前回32編、前々回31編に比べると、10編以上の増加である。
・青少年部門の2人を除くと、年代的には10代1人、20代2人、30代ゼロ、40代8人、50代5人、60代8人、70代以上17人と、60代以上のシルバー世代が半数余を占めた。
・過去に受賞経験のある応募者は17人を数えた。40代1人、50代2人のほかは、いずれも60代以上のシルバー世代である。年齢を超越した旺盛な創作力、エネルギーを感じた。せい賞の一つの特徴ではある。
・応募数が増えると質的には大きな波ができるものだが、今回は全体を通してレベルが高く、読み応えのある作品が多かった。少数とはいえ、10代、20代、40代、50代の作品に佳品がそろったことが大きい。このため、「今回は2年分、つまりせい賞(正賞)2編,準賞2編,奨励賞6編を選んでもいいくらい」と評価する声が出た。
・内訳は小説30編、童話2編、戯曲1編、文芸評論2編、ノンフィクション8編である。各選考委員選出による一次選考通過作品は青少年部門を含めて15編に上った。せい賞部門は選考委員1人当たり原則3編だが、それ以外の力作を落とすのは忍びないという思いもはたらいて数が増えた。
・協議の結果、せい賞には火星ネズミさん「牡蠣とオパール」、奨励賞にはなかむらまさゆきさん「白波を読む」、渡邉碧羽さん「百昌の調べ」、赤ぺこさん「比留田家のこと」が選出された。青少年特別賞は櫛田理央さん「かるたっ娘」に決まった。
・今回は真っ先にせい賞が決まった。準賞受賞経験者である一橋清高さんの時代小説「祈り」と「牡蠣とオパール」が抜きん出て拮抗し、結果として後者の作品が選ばれた。選考には厳しい制約がある。奨励賞受賞者には準賞レベル以上の作品が、準賞受賞者にはその上のせい賞レベルの作品が求められる。せい賞からはずれた結果、一橋さんの作品は受賞の対象外となった。
作品の掲載
吉野せい賞受賞作品「牡蠣とオパール」は、総合文藝誌「風舎 第21号」(令和9年3月発行予定)に掲載する。(予定)
第50回吉野せい賞作品募集ポスター
吉野せい賞作品募集ポスター応募数及び審査委員
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応募総数
19点
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審査員
佐久間 静子、德永 祐樹 (50音順)
審査結果
最優秀賞
笠間 未來(かさま みらい) 内郷第一中学校3年
令和9年度の吉野せい賞作品募集の広報用ポスターとして使用します。

「君の夢物語をカタチに」
【講評】
星月夜にぽっかりと開いた中央の丸窓から飛び出す人物。その周りを山椒魚、魚、蝶などの生き物たちが漂い、夢のような世界が展開している。文字盤が反転した時計や、失われたジグソーパズルのピース、コーヒーカップから這い出る蛇とリンゴなど、意味深長なモチーフが「夢物語」としてのファンタジーを作り出している。人物の腰の光輪や、ペンを持った手元が発する光の表現には、伝統的な絵画表現としての神聖さがある。画面の中央に人物を置く構図は求心性を感じさせ、今まさに作品が生まれる瞬間、アイディアが人物の元に集まってくる様子がよく表現されている。また、原色に近い赤や緑を用いたはっきりとした色彩がポスターとしてのインパクトにふさわしいと判断した。
優秀賞
青山 れい(あおやま れい) 泉中学校3年

「色づく世界 想いを言葉に!」
【講評】
画面左下の原稿用紙から中央に立つ人物、背景にジャンプするイルカへと、奥行きを感じさせる構図が、絵に躍動感を与えている。城壁やピラミッド風の建築物は、それぞれが寒色または暖色の同系色のブロックで積み上げられ、統一感を持った「色づく世界」を構築している。細部を描く技量に秀でており、レタリングに施された光沢や、きらめくような水面や水しぶき、制服の肩から腕にかけての衣紋の表現に特に目を引かれた。また、単に固有色を再現するのではなく、それぞれのモチーフの取り合わせを考えて配色しているように見受けられ、軽やかで光り輝く画面が生まれている。
優秀賞
芦名 琴美(あしな ことみ) 磐城学芸専門学校1年

「自分だけの世界を広げよう‼」
【講評】
夜が明けようかという荒野を舞台に、原稿用紙の上に猫が3匹。瓶からこぼれたインクで足跡を残す猫、ペンを抱えて線を引く猫、消しゴムを持った猫。モチーフを絞ったことで「自分だけの世界を広げよう」というメッセージがストレートに伝わるものとなっている。斜めに描かれた地平線が疾走感を、画面の左端からかすかに差し込む光が期待感を演出し、これから成し遂げられる文学の完成を予見させる。また、光源に対して猫やペンの陰影やハイライトが適切に描かれており、画面に破綻がない。劇的な背景と猫のかわいらしさのギャップもユーモラスで、独自性のある1枚となっている。
奨励賞
- 平第一中学校2年 大和田 あかり (おおわだ あかり)
- 中央台南中学校2年 小野 夏菜海 (おの ななみ)
- 泉中学校3年 山内 遙花 (やまうち はるか)
- 勿来第一中学校2年 荒川 咲月 (あらかわ さつき)
- 磐城学芸専門学校2年 中島 美珠 (なかじま みじゅ)
総評
今年度は、昨年度と比べて応募作品がかなり少なかったものの、その中でもひとつひとつに工夫や想いが込められた素晴らしいポスターとの出会いがあり、大変嬉しく思っている。
どの作品からも、文を書く楽しさや嬉しさが上手に表現されており、見る人の想像力をかき立てるようなイメージの広がりを感じることができた。
キャッチコピーは的確で読みやすく、レタリングの字体にも美しさと力強さがあり、それぞれの作品の魅力を引き立てていた。
今回の最優秀賞作品は、記念すべき第50回吉野せい賞の作品募集ポスターとして使用される。このポスターが多くの人の目に触れることで、吉野せい賞への関心が高まり、より多くの応募につながることを期待したい。
未来への広がりを感じさせる作品も多く、次年度も皆さんの豊かな感性と想像力あふれるポスターとの出会いを楽しみにしている。
ポスター展
巡回展示日程(全作品を展示します)
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令和8年11月1日~令和8年11月23日 いわき市立草野心平記念文学館
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令和8年12月3日~令和9年1月5日 いわき市立いわき総合図書館
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令和9年1月16日~令和9年2月1日 いわき・ら・ら・ミュウ 2階市民ギャラリー
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